Instant Sunshine

好きなものをとりとめなく残していく。ただそれだけ。

Pixies「Surfer Rosa」

ロックという音楽は、やはりネガティブな要素がないといけません。劣等感やコンプレックスが激情に変わることでロックというのは深みを増すものだと私は常に思っています。その辺のチャラ男が女をひっかけてパーリーピーポーというロックなんて、いくらかっこいい音を鳴らしていても、それは薄っぺらいものにしかならないのではないでしょうか。

今回紹介するPixiesはボーカルがデブ・ハゲ・ブサイクと数え役満な風貌(あと性格も難あり)を持ちながらも、誰よりもかっこいいロックを鳴らしたバンドです。活動期間は80年代後半から90年代前半と短いながら、後進のバンドに大きな影響を与えています。

 

ピクシーズの魅力として、静と動のメリハリをつけた曲展開とかがありますが、私はもっと包括的な捉え方をしていまして、単純に曲展開が変態的なんですね。フックが効きまくっているというか。予測がつかない方向に曲が進んでいくので、聴いててすごく楽しくなってくる。

ピクシーズは2ndアルバムの『Doolittle』が代表作としてよく挙げられますが、上記の点で私はむしろデビューミニアルバムの『Come On Pilgrim』や今回紹介する1stアルバムの『Surfer Rosa』の方が好きですね。バンド全員がアイデアやアレンジに練り込む余裕があったからなのか、どれ一つとして同じような曲はないと言っていいほど。3分未満の曲がほとんどながら、短さをまるで感じさせないほどのアイデアたっぷりな曲の数々です。そういった意味で2ndアルバム以降は(ピクシーズにしては)真っ当なロックになってしまって、その点が私にとって残念かなと思っています。

 

で、『Surfer Rosa』ならではの魅力は、スティーブ・アルビニの迫力ある録音でしょう。ピクシーズのひん曲がった個性を増幅させるような見事な音像を作り上げています。加工した感じがまるでない、すごい生っぽい音になっています。アルビニ先生のベストワークではないでしょうか。

1曲目の「Bone Machine」のイントロのドラムを聴けば、私の言いたいことが全て分かるはずです。ヒリヒリした感触がまさにロック!!って感じですね。

 

 

  

サーファー・ローザ

サーファー・ローザ

 

 

The Cure「Staring At The Sea」

80年代から現在に渡って高い人気を博してきたイギリスのバンド、The Cure(以下キュアー)について書こうと思う。しかもあえてのベスト盤(笑)。

キュアーの魅力というのは人それぞれ分かれるでしょうが、個人的にはストレンジでセンスの良いポップソングを書けるというところが大きな魅力だと思っています。

今まで出してきたオリジナルアルバムには名盤と呼ばれるものが数多くありますが、何枚か聴いてみたところ、あんまりピンとこなかったんです。オリジナルを聴く前に触れたベストアルバム2枚はすごく好きになれたのに。

 

理由は割と単純でした。曲が長いアンド多い。

 

特に『Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me』以降はその傾向が高く、アルバム通して聴くとしんどい。曲も長い割に展開が変わらず、同じ調子なのが延々続くので、私にとってはこれはキツイ。

その結果、いつの間にかベストアルバムくらいしか聴かなくなっていたとさ。ハイ、終了!

 

 

あ、アルバムについてでしたね。このアルバムはデビュー時の『Three Imaginary Boys』から『The Head On The Door』期までのシングル曲を収録したアルバムで、私の好きなストレンジでセンスの良いポップソングが多数あり、聴き心地いいです。明るすぎず暗すぎず、ちょうどいい薄暗さの雰囲気がたまらないです。

代表曲「Boys Don't Cry」や「Charlotte Sometimes」などはオリジナルアルバムには収録されていないので、そういった点でも聴く価値あります。

キュアーの場合は作品も多く、時期によって音楽性がガラリと変わっているので、ベスト盤で好きな曲を見つけ、そこからオリジナルアルバムに遡っていくのが一番ハズレがないと思います。

 

音がスカスカだけど妙に魅力的な「10:15 Saturday Night」、甘酸っぱい青春の1ページ感のある「Boys Don't Cry」、タンゴを取り入れた「The Lovecats」、ふわふわしたシンセが心地良い「Close To Me」が、私のお気に入りですね。

 

 

 

Staring at the Sea: Singles

Staring at the Sea: Singles

 

 

Mr.Children「IT'S A WONDERFUL WORLD」

ついにやってきたミスチル。今回は最近聴いた10枚目のアルバムで。これがやっと魅力がわかってきた作品なんです。

 

問題作『深海』から続いていた鬱屈な世界観からついに解き放たれて、久々にポップなミスチルが帰ってきた作品であり、徐々に落ち始めていた人気を取り戻した、ミスチル史でも結構重要な作品です。

が、私はそこまで好きじゃなかったんですよね。鬱屈した世界観のミスチルが好きだったし、このアルバムではピアノ主体のアレンジが多く、バンド感が薄く感じられるのがどうも好みではなかった。なんか腑抜けた感じに聴こえたんですね。

 

ただ久しぶりに聴いたら、すごくしっかり作り込まれた作品だなと思えました。

アントニオ猪木の有名な言葉をサンプリングした「one two three」、ストリングスやピアノなど一寸の隙のないアレンジの「君が好き」といった力の入った曲が多いですし、

打ち込みリズムと毒を吐く歌詞が『DISCOVERY』を彷彿とさせる「LOVEはじめました」もいいアクセントになってます。

 

あと昔から思っていたのですが、「youthful days」や「優しい歌」ってポップな曲として片付けるには、あまりにも収まりが悪い曲ですよね。

youthful days」のサビのリズムとかすごく変ですし、「優しい歌」なんかメロで盛り上がりをお膳立てしときながら、サビはあっさり終了しますし、この辺りは前作『Q』の変てこりんな流れを汲んでいるのかなと思いました。

 

 個人的に一番面白かった曲は「UFO」。地味なメロディと割と力が入ったストリングスアレンジが妙で、地味なのか派手なのかわからないところが不思議だった。今までは全然印象に残らなかったのに、なぜか今回聴いた時はすごく印象に残ってしまった(笑)。

 

 

昔は『深海』こそがミスチルだと思っていた私ですが、年を重ねるとこういったアルバムも受け入れられるほど、音楽の器も大きくなったんだなとシミジミと感じました。

 

 

 

It’s a wonderful world

It’s a wonderful world

 

 

felt「Let The Snakes Their Heads Crinkle To Death」

イギリスで80年代を通してインディーで活躍したギターポップバンド、フェルトの5thアルバムで、フェルトの中でも迷作扱いされることも多い作品。

 

というのもこのアルバムは全曲インストで、全10曲であるにも関わらず収録時間が20分弱という、商業的自殺としか思えないような作品だったからです。

今までのフェルトファンも、このアルバム発売前に出たシングル「Ballad Of The Band」で好きになったファンも困惑しかなかったのではないでしょうか。だってこんな小品集にマジすげえっすわ〜いいアルバムやわ〜とかいうシーンとか想像しにくいし。

 

とまあ否定的な意見から入りましたが、私個人としてはすごく好きなアルバムだったりします。さらっと気軽に聴けるところがいいんですよね。

20分弱の収録時間も、全曲インストといった要素も、私にとっては肩肘張らずに聴けるポイントですし、どの曲もリラックスした雰囲気があって、つい手に取ってしまうアルバムです。腹八分目で聴けるというか。

 

ゆったりとした時間を過ごしたいときにオススメです。

 

 

Let the Snakes Crinkle Their Heads to Death

Let the Snakes Crinkle Their Heads to Death

 

 

B'z 「SURVIVE」

B'z諸作品の中で最高傑作はどれか?というと、数多くの作品を発表しているミュージシャンであるため、おそらく色々な答えがあるかと思いますが、私にとっては今回紹介する『SURVIVE』こそが最高傑作だと思っています。なぜなら作曲担当でありプロデューサー、リーダーである松本の作曲が一番キレにキレまくっていた時の作品だからです。

 

『SURVIVE』の2年前に発表した「LOVE PHANTOM」は演劇的なクラシック要素と打ち込みをミックスした冒険的な曲にもかかわらず、大ヒットを記録しました。今でもB'z最高の曲として良く挙がる曲です。

推測ですがこの出来事により、B'zお約束のスタイルではなく、どんなスタイルの楽曲でも高いクオリティが伴っていれば、ファンは増えるしついてきてくれるとB’z側は確信したのではないでしょうか。その証拠に「LOVE PHANTOM」以降は、B'zお約束のスタイルであるロック調の曲に管楽器を加えたアレンジ(例:「love me, I love you」「Don't Leave Me」など)がめっきり少なくなるんですね。

その後、バンド主体のアレンジとなった「Real Thing Shakes」「FIREBALL」や、ジャズやレゲエなどを取り入れた大人の音楽が魅力的なミニアルバム『FRIENDS II』を発表し、B'zの音楽はどんどん多様化していきました。そんな時期に作られた『SURVIVE』は、当時のB’zの総決算と言えるほどの幅広い音楽が詰まっているのが特徴です。初期の打ち込みやロックバラード、演歌調などなど本当バラエティ豊か。

特に「Calling」なんてピアノバラードのメロ部分と激しいロックのサビ部分を強引に繋ぎあわせるというアクロバティックな曲になっていて、この頃のB’zは本当になんでもアリだったんだなあと感じます。

 

作詞サイドの稲葉も負けておらず、歌詞を目いっぱい詰め込んでトーキング風のボーカルで歌っていたりして(「だったらあげちゃえよ」に顕著)、ラップとはまた違う面白さを生んでいます。

歌詞の内容もキレキレで、「Liar! Liar!」では"愛する人がハッピーになりゃそれでいいや"とヤケクソ気味に歌うところに、私はロックをかくあるべしと学びました。

「DEEP KISS」でも"そりゃ他に男もできるわ"と情けない歌詞をカッコよくシャウトするところにもロックを感じましたし、最終的には"ウー ワン ワン"と犬になってしまうところなんてロック以外の何物でも(以下略)

 

 

いいアルバムです。

 

 

SURVIVE

SURVIVE

 

 

 

 

L'Arc~en~ciel 「KISS」

ラルクアンシエルの2007年作。あまり聴き返すことのない作品だったのですが、つい最近何気なく聴いてみたらちょっと魅力がわかってきました。

クオリティ自体は信頼と実績のラルクさんなので、駄作というのは全くないのですが、今までの作品にあったラルクの毒と言えるダークな部分があまり感じられなくて、その辺りが個人的に好みじゃなかったんですね。

 

ラルクらしいダークな雰囲気がある曲は、今作の場合だと「DAYBREAK'S BELL」「ALONE EN LA VIDA」とかありますが、『DUNE』のようなゴスっぽさや『ark』『ray』のような退廃感、『REAL』『AWAKE』のようなヘヴィさとはまた違う、透明な暗さというか・・・そういう雰囲気に変わってるんですね。闇から影に変わったみたいな。(今ええ例えしたなと思った)

もうキャリアも十分重ねてきたゆえの余裕が、そういった変化をもたらしたのかなと思いますし、その変化こそが今作の魅力なのだと思うと、結構良いアルバムかもと思えるようになりました。「MY HEART DRAWS A DREAM」の優しげな歌い方とか今まで見られなかった新境地ですしね。

 

オススメ曲は「Link」「Hurry Xmas」。

「Link」は歌詞がすごく好き。なぜかは分からない。けど泣きそうになった。

「Hurry Xmas」は最初聴いたときはぶったまげ、そして笑っちゃいました。こんなハッピー感あふれる曲作ってしまうかと。アルバムでは最後の曲なので、終わった後しばらくは幸福な余韻に浸れます。この点もこのアルバムの大きな魅力かもしれません。

 

 

KISS

KISS